b型肝炎訴訟とb型肝炎について

B型肝炎は、今もたくさんの方が闘病されていています。過去、国による集団接種において大規模なウイルス感染もあり、そのことについて、国の救済対象となる人、ならない人の線引きなどの訴訟問題も起こりました。今は、この集団感染とは違った様子を見せているようです。

今の肝炎の現状と、B型肝炎訴訟の今はどうなっているのでしょうか。

肝炎ウイルスとは

肝炎には、良く知られているものが3種類、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎があります。その他にD型肝炎、E型肝炎、が発見されています。その中でもD型肝炎は、非常に稀な感染症のようです。E型肝炎に関しては、近年、感染した事例が増えつつあるようで、ジビエ料理や豚レバーなどが原因での感染が問題になっています。

なぜなら、このE型肝炎は東南アジアなどで見られるウイルスだと考えられていたからです。A型肝炎とE型肝炎に関しては、急性肝炎のみですが、B型C型肝炎は慢性化することがあります。そして、慢性化するとどうなるでしょうか。

慢性化した感染は、肝臓ガンを発生させる原因にもなってしまいます。

その感染経路は

B型肝炎に関しては、込み入っているので後にして感染経路を見てみましょう。注目すべきは、感染経路がある程度絞られているということなんです。A型肝炎経口(食事、水)。性感染。C型肝炎血液医療行為、肛門性交。

D型肝炎

性感染。E型肝炎経口(食事、水)となっています。どうでしょうか。性行為と口からの摂取、医療行為からの感染ばかりです。もちろん、精液が誤って口に入ってしまったり、という事でも感染のリスクがあります。

B型肝炎の特徴や症状

B型肝炎の特徴的症状は、急性肝炎の場合、全身倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、尿濃染、白眼の部分や皮膚の黄疸などです。症状からは、とても分かりそうにないですね。では、感染経路はどうでしょうか。血液、精液、唾液によって感染するので、輸血等の医療行為、母子感染、薬物使用時の注射針の共用、性行為で感染がおこります。

ここに落とし穴があり、医療行為での感染として、日本では過去に集団感染が起きました。

感染、発病時に治療法はあるのか

今は、B型肝炎ウイルスに有効な抗ウイルス薬があります。注目すべきは、抗HIV薬の中にもHIVと同時にB型肝炎ウイルスに効果がある薬です。かつての日本では、成人の初感染は自然治癒が一般的で、慢性化の恐れはないとされていました。

しかし、その後国内にはなかった慢性化しやすいB型肝炎のタイプが外国から入ってきた来たことを契機に、男性間での性交渉などで広がっていった背景があるようです。また、慢性化することで、より性感染の広がり方や肝臓がんのリスクもあります。

感染しても発病せず、無症候性キャリアとして推移することもあるようですが、リスクを考えれば、不特定多数との不用意な性交渉や、血液の付着の可能性のある物の共有などは避けることが大切です。自らの身を守るための行動や考え方が必要です。

かつての集団接種

日本では、今も昔も集団接種が行われていますよね。学校の保健室であったり、保健所だったりですね。それが、昔の日本(具体的に言うと昭和63年ごろまで)では、集団接種時の注射器を使いまわしていたのです。『参考情報 - b型肝炎訴訟

消毒などもせずにです。

ということは、前に書きましたが、B型肝炎ウイルスは血液で感染しますので、集団接種で大規模に感染してしまう事故が起きてしまいます。そして、それが、現実に起きたのです。また、昔の日本では母子感染もあったようです。

母子感染した子供が集団接種に参加していれば、当然、健康体である子供も感染のリスクがあります。

これにより、集団訴訟がおこります。なぜなのか。

ここで問題なのは、予防接種を主導していたのは誰だったのか、ということです。医師の権限で予防接種を行っていたのか?といえば、そうではないのです。ここで国の責任という話が出てきます。なぜでしょうか。そもそも、予防接種というもの自体が伝染病予防行政上の施策として、国が法律上または事実上の強制で行ったのです。

ですが、当然細部にまで国からの指導がありました。ですが、注射器の針や筒を替えずに連続使用することは、戦前から感染症の原因になる事が常識とされていて、禁忌だとされていたにも関わらず、1人ずつ注射器を替えるという僅かな手間とコストを惜しんだ為に、B型肝炎の集団感染という悲劇が起こりました。

この集団感染に関しては、最高裁で国の責任が認められています。概要としてはこうです。平成元年6月に北海道のB型肝炎患者5名が、幼少期に受けた集団予防接種の際に注射器の連続使用が行われ、それが原因であるとして、国を相手取り損害賠償を求める裁判を起こしました。

平成18年に最高裁は、国が当然するべき消毒や交換などの指導徹底をし、感染を未然に防ぐ義務を怠ったいうことを認めました。そのうえで、原告らの感染の因果関係も認めたのです。しかし、その判決までに要した時間は17年です。

B型肝炎訴訟

上記の裁判を起こした原告団は、厚生労働省に対して、自分たち以外の患者も救済するようにと求めたのですが、それは叶わず放置されたのです。

しかし、平成20年に国の責任を明らかにして、患者の救済を目的に全国でB型肝炎訴訟が展開されていきます。その後、国と患者に対して札幌地方裁判所の裁判長から和解所見が示されました。17年もの時間がかかり、その間に亡くなる患者も多く、この和解案を受け入れたのです。

この基本合意、微細な点や不明確な部分があるようで、今でも弁護団が中心となり、国と協議を続けていて、定期的な協議の場をもっているようです。

不明確な部分があるにしても、あの基本合意書は肝炎患者の方たちに声を上げる契機を与えたみたいですね。幼児期に感染し、慢性肝炎になれば治療費も莫大だと思いますし、そこから肝臓がんになってしまえば更に治療費もかかり、苦痛も増えるのですから、この訴訟には、患者の方たちにとって、大きな意味がありそうです。

2018年の時点で、B型肝炎訴訟の和解成立は2、000件を超えています。いかに広範囲での被害者がいるかを覗わせます。

改めて見てみると

国の主導で行われていた予防接種で、これだけ大規模な集団感染が起きてしまうというのは、今では考え難いことかもしれません。裁判まで起こるということは、早期解決にならず、命にかかわる事案の場合は特に、時間や被害者の方の高齢化などがあり、デリケートな問題です。

今現在、集団接種での感染はほぼないようですが、肝炎は他人事ではないという事もあります。日常生活での不用意な感染を避けるために、パートナーや自分の体に関心を持つことも大事なことです。必要な措置を講じるだけでリスクを減らせるというのは、日常での参考になります。